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事例と計画

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過疎地の観光プラン 温泉編

 過疎地域における「温泉」を活用した交流・滞在施設

 過疎地域等は、山岳、高原、渓谷、湖沼、海岸等の変化に富んだ景観や、温泉、森林、動植物等の多様で個性豊かな自然系の地域資源に恵まれた地域でもある。そのため昨今は、これらの地域資源を活用し、地域アイデンティティの確立や、都市との交流活動などが積極的に取り組まれており、それらを支援するための基盤として自治体等による交流・滞在施設の整備が盛んになってきている。中でも、わが国の風土に培われた「温泉」は、過疎地域等に多数分布し、多くの人々に親しまれている極めて特徴的な地域資源であり、その有効活用が強く期待されている。

 1. 温泉の定義と分類

 2. 温泉の効用

 3. 過疎地と温泉

 4. 過疎地域と都市との交流


 5. 都市住民の過疎地域への期待とイメージ

 6. 温泉資源の活用

 7. 温泉を活かした交流・滞在施設の活用

 8. 交流・滞在施設の整備制度の概要


1. 温泉の定義と分類
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 わが国において温泉とは、温泉法によれば「温泉とは地中から涌出する温泉、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、温度が摂氏25度以上か、または25度未満であっても法律で定められた19種類の物質を一つでも規定量以上含んでいるもの」と定義される。また、日本温泉協会では、含有鉱物成分によって、温泉を11に分類している。全国の温泉地別の主な泉質区分でみると、単純温泉と塩化物泉が最も多く、それぞれ全体の約25%を占め、硫黄泉が約17%となっている。



2. 温泉の効用
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 農耕民族としての歴史を持つわが国では、古くから正月の湯、寒湯治、春湯治(花湯治)、田植え後の湯治、夏湯治、秋湯治など、各地で季節的に湯治に出かける習慣があったが、これらは療養目的の他にもいわゆる骨やすめとしての利用も多い。現在も東北地方では農閑期における湯治の風習が残っており、療養、保養のための温泉地が数多く残っているとともに、漁業者も出漁前後に長期の湯治をする場合がみられる。
 都市化が進展した現在の観光旅行においても、宿泊場所として温泉地を志向するなど、日本人の温泉好きには、このような歴史的な背景があるものと考えられる。このため、温泉に対する志向が多様化している昨今は、単なる歓楽地としての温泉地だけではなく、保養・休養といった温泉が有する機能についても今一度見直す必要があろう。
 温泉の医学的研究は進展しており、温泉の医療効果が泉質別に明らかにされ、経験的に言い伝えられてきた効能も慢性疾患の長期療養においては、それなりの意義があることが証明されつつある。胃腸病や肝臓病には飲泉、リウマチ、関節障害、神経障害、皮膚病などは主に泉浴がよいとされている。


3. 過疎地と温泉
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 温泉地の観光実態として、全国宿泊観光の目的において温泉のニーズが高まっていること、温泉地の宿泊客数が増加傾向にあること、都市住民等の温泉地に対するニーズは、「自然環境」、「温泉情緒」、「やすらぎ」、「ストレス解消」などであることが分かっている。
 過疎地域と温泉の関わりについては、過疎地域の市町村が過疎地域以外を上回る水準で温泉を保有していること、過疎地域のなかでも温泉を保有する市町村は財政力指数等の平均値が若干高いことなど、過疎地域と温泉地が深く関係しており過疎地域の大きなストックである。


4. 過疎地域との交流
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 都市住民の価値観の多様化やふるさと志向の高まりにより、過疎地域等と都市との交流活動が活発化している。都市住民が抱いている農山村のイメージは、下図に示すとおりである。

良い点は「自然環境」、「不動産の入手」「人情・素朴さ」、「新鮮な農産物」など、豊かな自然とそれに育まれた人的または物的資源が上位を構成している。逆に、悪い点は「交通機関の不備」、「消費生活上の不便さ」、「医療機関の不足」などが指摘されている。




農山村のイメージ

また、過疎地域は全国水準を上回る観光客の増加傾向にあること、過疎地と都市等との交流ニーズが高まっていること、都市から見た交流ニーズでは、「自然環境」、「人情・素朴さ」、「新鮮な農産」などが求められていること等が明らかとなった。

観光客数動向



5. 都市住民の過疎地域への期待とイメージ
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都市との交流活動



6. 温泉資源の活用
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 過疎地域にとって、自然系地域資源である温泉の活用は、地域の活性化(交流人口の増加等)に有効な手段となり得るものであるが、近年は温泉地の競合が進んでおり、単に温泉を整備しただけでは地域の活性化は図れない状況である。温泉整備と同時に、地域住民の創意工夫によって温泉地の個性化を実現することが肝要であり、過疎地域自らが温泉地周辺の資源について考える姿勢が求められている。

温泉資源の活用

過疎地域等における温泉の活用方法
活用方法
主たる機能分類
関連施設等
温泉浴活用
・療養(湯治)型 ・湯治旅館、高齢者福祉関連施設等
・保養・休憩型 ・国民保養温泉地、クアハウス、日帰り型温泉等
・観光型 ・観光旅館・ホテル等
景観資源活用
・涌出地(源泉)景観 ・間欠泉、地獄谷、湯畑等
エネルギー・産業活用
・地熱発電 ・発電施設
・産業活用 ・レジャー産業(温泉プール等)
・農林水産業(施設園芸、水産養殖等)
・商業(湯の花・温泉の素の販売等)
生活活用    
・地域暖房(地域給湯・暖房設備等)
・住宅給湯(温泉付集合住宅、温泉付別荘等)
・融雪(道路融雪等)



7. 温泉を活かした交流・滞在施設の活用
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(1)温泉等の活用方向

温泉等の活用方向


(2)温泉地(交流・滞在施設)間の連携方向

〈配慮事項〉

 1. 温泉地等の地域資源を活かした広域観光の振興(広域観光ルート)

  • テーマ性、ストーリー性のある広域観光ルートの形成
  • 温泉、山岳・高原、海浜等の自然系地域資源が連携したテーマルートの創造
  • 自然体験、農山漁村体験等の体験型テーマルートの創造
  • 他 地域との差別化を図るための個性化方策の立案

 2. 温泉地間の機能分担と連携

 1)温泉地のコンセプトの明確化

  • 温泉地又は温泉施設ごとの療養(湯治型)、保養・休養型、観光型などの相互連携
  • 保養・休養型を中心にした総合的な温泉地の形成

 2)温泉施設、交流・滞在施設間の連携

  • 多様な主体の参加と連携を柱とした地域自らの発想と活動による各施設間の連携  
  • 諸問題を調整する組織(観光協会・連盟、温泉協会、協議会等)設置のための行政支援
  • 機能分担のもとに地域一体(相乗効果)となった集客力強化
  • 市町村等が広域的に連携した総合的な温泉施設や滞在・交流施設の共同整備利用
  • 効率的、効果的な施設の活用(相互斡旋、共同PR、共同イベント等)
  • 「道の駅」等の交流拠点施設における地域情報の発信と広域的な連携


(3)交流・滞在施設の整備・活用方向

〈配慮事項〉

 1. 交流施設の個性化・魅力化

  • 温泉地のコンセプトによる施設、サイン、景観等の統一化と魅力あるトータルイメージの創造
  • 温泉施設周辺の自然系地域資源等のイメージを活かした交流・滞在施設(温泉地)の個性化
  • 既往の交通制度(都市農山村交流等)への温泉の活用

 2. 低料金・質の高いサービスの提供

  • 利用者ニーズ(自炊、素泊まり等)に対応したサービスシステムによる宿泊費用の低料金化
  • 宿泊施設と飲食施設(郷土料理)の連携等多様なニーズに対応した低料金・高サービス化
  • 日帰り型温泉(宿泊施設なし)と周辺宿泊施設の連携(共同利用割引等)による低料金化等
  • 企業との連携(福利厚生施設等)や会員制度(割引制度等)の導入
  • 公営宿泊施設、オートキャンプ場、観光旅館・ホテル等多様な施設の整備・誘致




8. 交流・滞在施設の整備制度の概要
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(1)過疎地域を対象とする施策

過疎地域を対象とし、交流・滞在施設の整備に関して、国(総務省)が講じる施策は下表のとおりである。

過疎地域を対象とする交流・滞在施設の整備施策

事業名
補助率
実施期間
事業内容



遊休施設再活用
推進モデル事業
1/3
以内
単年度

市町村が、現在使用されていない廃校舎、家屋等遊休施設を宿泊施設や体験・交流施設として整備、再活用するために要する経費に対して補助を行う

過疎地域滞在施設
整備モデル事業
1/3
以内
2カ年度
以内
過疎地域における地域資源を有効活用し、国民一般が手軽に利用し得る滞在型施設の整備に要する経費について補助
過疎地域等活性化
推進モデル事業
1/3
以内
単年度
過疎地域等において、都市住民等の滞在を図り、地域間交流を促進するイベント、特産品開発、人材育成などのソフト事業について補助


(2)過疎地域に関連する施策

同じく交流・滞在施設の整備に関して、過疎地域に関連する施策(過疎地域に限定した施策ではないが、過疎地域においても摘要される)を下表に示した。これらのほかに、自治省でも「農山漁村ふるさと事業」などの施策が講じられており、都市住民との交流及び過疎地域おける交流・滞在施設の整備が進んでいる。

過疎地域に関連する主な交流・滞在施設の整備施策

  事業主体 補助率 事業内容
コミュニティ・アイランド推進事業
市町村 1/2 離島において、離島の活性化や都市等との交流の場づくりを推進する事業に対して補助
離島交流推進事業
- 定額
(1/2相当)
自然や文化、芸術など島の特性を活かした経済的・文化的交流活動等を補助
個性と活力に満ちた雪国創造事業
市町村 1/2 豪雪地帯市町村において、モデル地域を設定し、雪国体験交流のための宿泊・研修施設等の整備に対し補助
山村都市交流環境総合整備モデル事業
市町村等 1/2 山村と都市の交流の場にふさわしい環境をモデル的に整備
国立・国定公園
- 園地、駐車場、野営場、博物展示施設等の整備、公衆トイレの水洗化「エコロジーキャンプ」「緑のダイヤモンド計画」「エコ・ミュージアム整備事業」「ふれあい自然塾整備事業」等
都道府県 1/3
市町村 1/3以内
環境事業団 1/2
国民休暇村
- 宿泊施設を中心とした各種野外活動
都道府県 1/2
(財)国民休暇村協会 -
ふるさと自然公園国民休養地
都道府県 1/3 博物展示施設、園地、野営場等の整備
国民保健温泉地等
市町村 1/3 国民保養温泉地の中から、自然資源を活用し、自然とのふれあいや心身のリフレッシュが期待できる条件を備えた温泉地を「ふれあい・やすらぎ温泉地」として現在12ヶ所を選定し、温泉地の有する自然を十分に活用するために必要な自然ふれあいセンター等各種公共施設の整備を図る
自然環境保全活動拠点
都道府県 1/3 「環境と文化のむら」「ふるさといきものふれあいの里」「ふるさと自然のみち」の整備
市町村 1/3
長距離自然歩道
都府県
(国立・国定公園内)
1/2 自然公園や文化財などを有機的に結ぶ長距離にわたる歩道の整備
都府県
(国立・国定公園外)
1/3
家族旅行村等
地方公共団体 1/2・1/3 一定の農山漁村地域において住民の文化・スポーツ面で都市的な施設に対する要求に応じ、特定地区公園を整備するほか、水辺の散策路、親水広場等の施設整備に対し補助
家族キャンプ
地方公共団体 1/3 オートキャンプ場等地域振興に資する家族キャンプ村の整備


 

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